一橋大学 高橋 滋 Ⅰ はじめに 1 行政不服審査法改正の要因 政不服審査法は、昭和37年に明治憲法時代に制定された訴願法にかえて国民の権利利益の簡易迅速な救済を主要な目的の一つとして制定されたが、現実の利用度は全体としてみると必ずしも高くない。その理由としては、救済の見込みの少なさ、制度の複雑さ、手続・運用上の不備等がある。 特に、1)処分庁に上級庁があるか否かにより、審査請求と異議申立てに手続が区分され、審査請求に比して異議申立ての手続が簡略であること(異議申立手続には、審査請求に関する行政不服審査法22条・23条、32条の準用がない)、2)行政手続法の制定により、聴聞手続をはじめとして事前の行政手続法制が一定の水準を持つに至ったため、行政不服審査法 における手続保障のあり方を見直す必要があること、3)審理の主宰者としても、審理員(審理官)、行政機関情報公開法等の不服審査会のように、中立・公正性、第三者性を保障された審理担当者・機関を設ける必要があること、等が問題点として指摘されてきた。 加えて、国民の権利利益のより実効的な救済手続の整備という観点から行政事件訴訟法が改正された(2005年4月施行)ため、同じ行政争訟に係る手続を規律する行政不服審査法を抜本的に見直す必要性が強く認識されるようになった。 2 改正の経緯 ① 行政不服審査法案の提出まで 1) 「事後救済制度に関する調査研究報告書」(小早川光郎東大教授(当時)座長、平成10(1998)年6月)‐改革の際の選択肢を広く提示し、検討を加えたものである。 2) 「行政救済における審理主宰者に関する調査研究報告書」(高橋滋座長、平成11(1999年)3月)‐手続の中でも審理主宰者についての研究を進めたもの。1)の補完的な位置づけである。 3)「不服審査制度研究会報告書」(平成18(2006)年3月。小早川光郎教授座長・高橋滋座長代理) 行政事件訴訟法の改正を受け、改正のための本格的な準備作業として、成案を得るべく精力的に審議したものである。 4)「行政不服審査制度検討会」(小早川光郎教授座長) 3)の作業を受けて、具体的な改正法案の骨子を定めたものであ。 ② 行政不服審査法関連3法案の国会上程 自公政権の下で、上記改正関連法が国会に提出された(行政不服審査法案(第169回閣法76号)、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(同閣法第77号)、行政手続法の一部を改正する法律案(同第78号))。しかしながら、上記3法案(以下、「2008年法案」という)は、参議院の与党会派が少数の状況の下で、継続審議を重ね、最終的には、衆議院の解散により審議未了・廃案となった。 ⑤ 政権交代後の代替案の検討、再度の政権交代 政権交代後、自公案への代替案が新政権の下で検討された。この結果に基づき、要綱案の骨子が発表されたものの、通常国会に提出前に、再度、政権が交代することとなった。現在、上記行政不服審査法関連法案を基礎としつつ、一部、前政権の案も参考に必要な手直しをした再提出法案の骨子が公表された(総務省「行政不服審査法の見直し方針」(平成25(2013)年6月)。以下、「見直し方針」という)。平成26(2014)年の通常国会に法律案の提出が予定されている。 Ⅱ 改正の概要 1 行政不服審査法案の改正骨子 ① 客観性・公正さの確保 a.審査請求への一元化 まず、上記の観点から、不服申立ての種類について審査請求に一元化した。このことにより、審査請求と異議申立てとの間の手続上の差異が廃止された。なお、法律に再調査請求をすることができる旨の規定があるときは、国民は再調査請求をすることができる。ただし、その場合にも、直ちに審査請求をすることを妨げない。また、法律に特別な規定があるときには、国民は、再審査請求をすることもできることを認めるものの、再審査請求前置の制度は置かないものと整理された。 b.審理員の新設 次に、審理員の制度が新設された。すなわち、審査請求の審理は、原則として、審理員が行うものとされている(行政委員会、審議会等が審査庁である場合は除かれる)。この場合、審理員は、審査請求に係る処分等に関与した者以外の者でなければならない。また、審理員による審理の結果を審査庁の裁決に正しく反映させるため、審理員意見書の仕組みを設けることとされた。 注) 民主党の案においては、審理官を置くこととされ、職権行使の独立性を保障することとされていたものの、裁決権が機関としての審理庁にあること、審理官の組織法上の位置づけが困難となること、等の疑念が提出され、今回の改正法案においては、2008年法案と同様に、審理員の制度の創設、審理員の名簿の作成・審理員の指名・通知の手続等を設けることにより、審理員による審理の公正・中立を確保することとされた。 c.第三者機関の新設 また、審査庁は、審理員の意見書が提出されたとき、次の場合を除き、国の場合には行政不服審査会に、地方公共団体の場合には、共同設置、事務委託、あるいは臨時に任命されるところの機関に対して諮問しなければならない。その例外とは、1)他の法律で他の審議会等の議を経る等の手続が取られているとき、2)行政不服審査会等が諮問を要しないと認めたとき、3)審査請求が不適法であり、却下するとき、である。 なお、1)申請に対する処分であって、法令で基準が明確に定められているもののとき、2)審査請求人及び参加人が行政不服審査会等への諮問を希望しないとき、にも、行政不服審査会等への諮問を要しないこととする方向で検討がされている。 注) 行政不服審査会の設置については、救済の迅速に反するものとの批判もあり、民主党政権下の案においては、行政不服審査会は置かないものとされていた。もっとも、今回の見直しの方針においては、行政不服審査会に諮問する案件を必要なケースに限定するとともに、審査請求人が諮問を望まない場合には諮問を要しないこととする、等の措置を取ったうえで、行政不服審査会を設置することとされている。 ② 手続の迅速化 その一方、行政訴訟と比較した際の行政不服申立ての利点の一つは、迅速な救済を受けることができる点にある。そこで、手続の迅速化を図るため、上に述べたように、基本的に審査請求に手続を一本化し、再調査請求・再審査請求を国民が利用できる制度を設ける場合においても、利用を強制する前置主義は採用しないこととされた。さらに、標準審理期間の設定を努力義務化するとともに、審理手続の計画的進行、争点及び証拠の整理に関する規定を設けることとされている。 ③ その他の措置 a.審査請求期間 行政事件訴訟法の改正により取消訴訟の出訴期間が延長されたこととの関係上、審査請求期間の延長の是非が検討された。今回の見直しの方針においては、審査請求期間は、処分があったことを知った日から「3箇月」とされている。なお、当該処分に対して再調査の請求をした場合については、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日から1月を経過したときには、審査請求をすることができないものとされている(再審査請求の審査請求期間についても、審査請求の裁決がされたことを知った日から1月とされている)。 b.不服申立前置の全面的見直し 行政不服申立前置の特例については、この特例を規定する個別法の存在が、国民が裁判所に直截に出訴し、判断を求める上での妨げになっているとの批判があった。この批判を受け、民主党政権下の改正案においては、これらの個別法を見直し、特例に合理的な理由が認められる必要最小限にとどめるとの方針に基づいて、全面的な見直しがされた。今回の見直しの方針においても、この方針が踏襲されている。その中で、存続が認められる要件としては、次のものがあげられている。 ○ 不服申立ての件数が大量であり、不服申立前置が裁判所の負担軽減となっている類型の処分。具体的には、税、社会保障の分野における処分である。 ○ 第三者機関が不服申立てに関与している場合であって、専門技術性及び公正性を有する第三者機関の予めの判断を求めることに合理性が認められる処分。 ○ 高度の専門技術性等を有するものであって、争点及び証拠の整理等の観点から、不服申立てを前置する意義が認められる処分。 c.裁定的関与の問題 法令の中には、地方公共団体のした処分について、都道府県又は国の行政庁に対して不服申立てをすることができる旨の規定が置かれている場合がある。不服申立ての機会を通じて、都道府県又は国が地方公共団体のした処分について統制を及ぼすことが認められる仕組みであるため、この仕組みは、一般に「裁定的関与」と呼ばれてきた。 この仕組みは、地方公共団体に対する都道府県又は国の関与の見直しを方針として掲げた平成11(1999)年の第一次地方分権一括法において修正が加えられることなく存続し、2008年法案においても改正の方針は盛り込まれなかった。 注) 2008年法案においては、将来、裁定的関与については抜本的な見直しを加えることを前提として、当分の間、改正前の行政不服審査法を適用とすることとしていた。他方、民主党政権下の改正案においては、裁定的関与そのものを特に問題視せず、必要な場合には存置を認めること、旧法を適用するとすることは現場の混乱を招くおそれもあることから、新法を適用すること、の2つの方針の下で整理がされることとされていた。 そして、今回の見直しの方針においても、原則、不服申立制度を一段階化するとした2008年法案と異なり、個別法の規定に基づく再審査請求の制度が存置されたことから、裁定的関与を存続した上で、新法の制度を全面的に適用するものとされている。この点は、地方分権の観点からは、引き続き、将来に残された改革課題であるといえる。 2.行政手続法の改正骨子 ① 改正の経緯 行政不服審査法の見直しに際しては、行政事件訴訟法の改正により、義務付け訴訟・差止訴訟が新設されたことから、これに対応する不服申立ての類型を設けるか否かが検討された。また、同様に、処分以外の救済の手段として当事者訴訟を活用する方向性が打ち出されたことに鑑み、処分以外の行政行為形式をとる行政活動に対する救済の手段を設ける可能性についても検討がされた。 その結果、2008年法案においては、1)申請に対する処分又は不作為についての審査請求について、上級行政庁である審査庁は、裁決で、処分庁又は不作為庁に対して処分をすべきことを命ずることができる旨の規定を新設することとし、また、2)処分等の求めの仕組みと、3)行政指導の中止等の求めの仕組み、とを設けることとされた。 注) ただし、2008年法案においては、非申請型の義務付けの救済類型、差止めの救済類型については、1)その手続が処分にいたる前の行政過程に位置づけられるものであること、2)行政手続法上の処分の事前手続とこれらの手続が並行・輻輳し、処分にいたる前の行政過程が複雑化し、実務に支障が生ずる可能性がある、との見地から、これらの手続は行政不服審査法には設けないこととされた。民主党政権下の案においては、これらの手続を設ける方向性が示されたものの、見直し方針においては、2008年法案と同様の取扱いがされることとなった。 注) 処分以外の行政行為形式の行政活動に対する救済の手段としては、行政指導のほか、行政計画、行政契約、行政調査と多様であるものの、行政計画以下の行政活動は多様であり、救済の手段のみを認めても、救済の根拠となる実体法の展開も十分ではないことから、行政指導についてのみ、以下に述べる、処分等の求め、行政指導の中止等の求めの制度を、行政手続法の中に設けることとされた。 ② 処分等の求め 処分等の求めとは、「何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているもの限る。)がされていないと思料するときは、権限を有する行政庁等に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができるものとする」というものである。その場合、「申出を受けた行政庁等は、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、当該処分又は指導をしなければならない」ものとされる。 注) 非申請型の義務付けについて、申請権のない場合について、正式な諾否の応答義務のある救済手続を設けることとなると、行政処分にいたる前の行政過程の複雑化を招くことになる。また、実務上の負担も重くなることから、何人にも申出の機会を付与するとともに、結果通知義務までは課さないものとされている。また、行政指導については、結果通知義務を課さないものとはいえ、法令上の制度と位置づける以上、根拠となる規定が法律に置かれており、実体法上の審査の手掛かりが与えられている行政指導に限るものとされた。 ③ 行政指導の中止等の求め 行政指導の中止等の求めとは、「法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、原則として、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる」とするものである。この場合、「当該申出を受けた行政機関は、必要な調査を行い、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと認めるときは、当該行政指導の中止その他必要な措置をとらなければならない」。 注) 1)行政指導は、相手方の任意の協力によってのみその目的が達成されるものである以上は、行政不服審査法上に特に行政指導の救済の手続を設けることは適当ではないこと、2)行政指導の基本原則・方式等が規定されている行政手続法に行政指導に対する救済の仕組みを設けることが適当であると考えられること、から、行政手続法に上記の仕組みを設けることとなった。この場合においても、行政処分等の求めとの均衡上、結果の通知義務までは課さないこととされているが、法令に違反する行為の是正を求める行政指導がされることにより相手方に生ずる事実上の不利益又はそのおそれを考慮すれば、運用上、相手方に結果等を通知する取り扱いをすることが望ましいことがある、とされている。 Ⅲ おわりに 1.本格的改正への期待 経緯において述べたように、行政不服審査制度の本格的改正は、十数年前に着手され、一度は2008年法案という形で、改正一歩手前の段階まで到達していた。しかしながら、日本の議会制度の特長(衆議院・参議院2院制、強い第2院の制度)と参議院において与党が過半数を取れない現象(ねじれ現象)と、2度にわたる本格的な政権交代の中で、改正作業が停滞してきた。今回、2008年法案を提出していた自民党・公明党の連立政権が、参議院で過半数を取得したこと、その政権が2008年法案を基本としつつも、民主党案を踏まえ一部修正したことから、2014年の通常国会に提出される改正法案の成立は確実視されている。 2008年法案の準備作業に深く関与した経緯が報告者にはあるものの、現行制度の不備が顕著であることから、民主党政権下にあっても、同政権における改正作業を見守り、その円滑な進行とこれに基づく改正法の成立への期待を表明してきた。 今回、2008年法案を基本としつつも、その後の議論・経緯を踏まえて修正された骨子が公表され、成立が確実視されていることについては、率直に、強い期待と喜びとを表明したい。 2.長期的視点における改正の課題 もっとも、1)2008年法案に明確に出されていた審査の1段階化(異議申立て前置の制度、再審査請求の廃止)等が後退し、2)地方分権の観点からは問題視されてきた裁定的関与の存続がより明確なものとされたこと、等については、報告者には異論もある。ただし、これは、長期的視点に立った改正の課題であり、これらの課題が解消されなければ、行政不服審査法の改正がされるべきではない、とするものではない。ここでは、将来における再改正に向けての検討課題として指摘するにとどめたい。 以上。 译文: 日本行政复议法修改新动向 报告人:高桥 滋[1] I 开头语 1 行政复议法修改的要因 行政复议法代替了最早在昭和37年(1962年)明治宪法时期制定出台的诉愿法,将对国民权利利益的简单快捷的救济作为立法的主要目的之一,但是现实当中被国民利用的程度从整体来看并不算很高。这主要是因为,能够得到救济的希望不大、制度本身复杂、以及手续运用上存在不完善的地方等等。 特别是复议法当中以下的几个问题得到了关注:1)根据做出处分的行政厅(下面简称为“处分厅”)的上级行政厅存在与否,复议被分成审查请求和异议提出两种,并且程序上也有不同。比起审查请求,异议提出的程序要相对简略(异议提出的程序,并不适用有关审查请求程序的复议法22条,23条及32条的规定)。2)通过行政程序法的制定,以意见听取程序为首的事前行政程序法制度得到了一定的发展,因此随之对行政复议法当中程序保障的合理性进行重新考虑的必要性得以体现。3)即使是作为进行审理的主要人员,比如审理员(审理官)、行政机关信息公开法等所提到的复议审查会,仍然需要确保其具有中立性、公正性、并且其作为第三人的地位应当得到保障,设立这样一种审理负责人或机关是很必要的。 另外,从进一步完善国民权利利益的救济程序的观点来说,由于行政事件诉讼法已经进行了修改(2005年4月施行),大家也认识到了需要对同为规范行政争讼程序的行政复议法进行一次根本性的再检讨。 2 法修改的经过 ①行政复议法草案提出 1)《有关事后救济制度调查研究报告书》(前东京大学教授小早川光郎为会长,1998年6月)该报告较为广泛地提出了改革之际的可能性选项,并进行了探讨。 2)《有关行政救济审理主要人员调查研究报告书》(高桥滋为会长,1999年3月) 该报告书是对程序进行当中的审理主要人员进行研究的总结,是对上述1)材料的补充。 3)《复议制度研究会报告书》(小早川光郎为会长,高桥滋为代理会长,2006年3月) 受行政事件诉讼法修改的影响,作为迎接复议法修改的准备阶段性讨论,该报告书进行了充分的审议,力图得到初步草案的效果。 4)行政复议制度研讨会(小早川光郎为会长) 本次研讨会主要是在上述3)的基础上对于具体修改法草案的大框架进行了制定。 ②行政复议法相关三法案提交国会 在自公政权执政后,上述修改关联法案提交到了国会(行政复议法案·第169次内阁法案76号;随行政复议法施行对其他关联法律进行完善的相关法案·同内阁法案第77号;行政程序法一部分改正法律案·同第78号)。但是,上面提到的这三个法律草案,虽然参议院的执政党在势单力薄的情况下进行了多次审议,最终还是因为众议院的解散而导致审议未完变成了废案。 ③政权更替后对于代替法案的检讨·政权的再次更替 政权交替之后,代替上述自公法案的草案在新政权下进行了重新探讨。虽然根据此次探讨结果已经公开了草案的大纲框架,但在提交给正式国会进行讨论之前,又一次发生了新的政权交替。目前,以上述行政复议法关联法案的内容为基础,并且对其中一部分根据参考前民主党政权的草案内容进行了修改后的法草案的框架已经得以公开(总务省《行政复议法的修改方针》2013年6月·以下简称修改方针)。这次草案预定于2014年提交正式国会进行审议。 II 法修改的概要 1 行政复议法案的修改框架 ①确保客观性·公正性 a 审查请求一元化 根据上述提到的观点,对于复议的种类应当归结为审查请求一元化。并据此废除以往审查请求和异议提出之间在程序上的差异。另外,如果法律当中规定了可以进行再调查的话,国民可以据此提起再调查的请求。只是在这种情况下,也并不影响审查请求的直接提起。另外,法律当中有特别规定的情况下,允许国民可以进行再审查请求的同时,对再审查请求前置的规定予以废除。 b新设审理员制度 另外,新设立了审理员制度。审查请求的审理,原则上由审理员进行(除了行政委员会,审议会等作为审查厅的情况)。在这种情况下,审理员不能与审查请求相关的行政处分有任何关联。另外,为了将审理员的审理结果正确并准确反映到审查厅的裁决当中,设立了审理员意见书的制度[2]。 c 新设第三人机关 审查厅在接收到审理员提出的意见书时,在国家层面上必须向行政复议审查会,地方层面上则必须向共同设置,或事务委托,或临时任命的机关进行咨询。但下述情况除外:1)其他法律中规定需要经过其他审议会等的审议程序时;2)认为没有必要向行政复议审查会等进行咨询时;以及3)审查请求不合法而被驳回时。 另外,在1)对于当事人提出的申请所作出的处分,并法律规定等明确规定了其标准,以及2)审查请求人以及参加人不希望对行政复议审查会等进行咨询的两种情况下,也视为没有必要对行政复议审查会等进行咨询[3]。 ②程序的迅速化 另外,比起行政诉讼来说,行政复议的一个优点就是能够迅速的得到救济。所以,为了达到程序的迅速化,基本上对审查请求进行了一元化改革,另外在国民可以进行再调查请求或再审查请求的情况下同时废除了以往的再调查请求·再审查请求的前置主义。同时,在将标准审理期间的设定规定为义务的同时,对有关审理程序的计划性进行,论点及证据的整理等也进行了规定。 ③其他措施 a 审查请求期间 由于行政事件诉讼法的修改延长了取消诉讼的诉讼期间,因此也对复议请求期间的延长问题进行了探讨。在本次修改的方针当中,对于审查请求期间的长短,设定为由知道处分之日起的“三个月”之内。在对该处分提请再调查请求的情况下,规定了审查请求的提起期间为由知道该再调查请求的决定之日起一个月之内(对于再审查请求的期间也规定为由知道审查请求的裁决之日起一个月之内)。 b 对复议前置的全面性修改 有关复议前置的问题,对于存在规定前置的单行法,导致国民不能直接向法院提起诉讼以寻求法院的判断,有的意见认为这是一种阻碍。受这种意见的影响,在民主党政权下提出的修改案当中,大的方针是对于这些单行法进行修改,将要求前置主义的特殊情况的合理理由认定尽可能的限制在必要最小限度之内,并且遵循这个方针进行了全面性的修改。在本次的修改过程当中仍然沿袭了这个方针的内容。其中,下列的要件被认为是应当继续维持的: ○复议案件数量多,如进行复议前置可以有效减轻法院负担的处分类型。比如税收,社会保障领域的处分。 ○在第三人机关参与复议的情况下,事先得到第三人机关具有专业技术性及公正性的判断的做法具有充分合理性的处分类型。 ○事件本身具有高度的专业技术性,从论点以及证据整理的观点出发,应当承认复议前置主义合理性的处分类型。 c 裁定型干预的问题 对于地方政府所作出的处分,在某些法律规定当中设置了可以向都道府县或者国家的行政厅提起复议的内容。这个规定的本意,是承认都道府县或国家通过复议来对地方政府所做处分行为进行一定的统制,因此被称为“裁定型干预”。 作为都道府县及国家对地方政府干预方式修改的大方针,上述规定在1999年第一次地方分权总括法的立法当中并没有进行修改,此次2008年法草案当中也没有相关修改的方针内容[4]。 在此次修改的方针当中,原则上是与2008年法草案不同,通过承认单行法当中对再审查请求的规定,维持了一定的裁定型干预的存在的基础上,提出要全面适用新法的规定。在这一点上,从地方分权的角度出来,今后仍然存在着进行改革的空间。 2 行政程序法修改框架 ①修改的经过 在行政复议法修改的同时,由于行政事件诉讼法的修改时新增设了两种新类型的诉讼:赋课诉讼与中止诉讼,是否在复议法当中针对这两种新诉讼类型设置新的对应方式也进行了探讨。另外,作为处分以外的救济方式,行政事件诉讼法当中提出了要对当事者诉讼加以活用,参照这个方向,本次修改过程中也对关于处分以外的行政行为是否可以在复议法当中采取与诉讼法相应的救济方式的问题进行了探讨。 探讨的结果如下:在2008年法草案当中,1)新设定了针对基于申请作出的处分或不作为所提出的的审查请求,作为上级行政厅的审查厅通过裁决,可以对处分厅或不作为厅作出应当进行处分的命令的规定,另外也设立了2)要求作出处分等行政行为的规定以及3)要求中止行政指导行为等的有关规定[5]。 ②要求作出处分等行政行为 要求作出处分等行政行为,指的是:“在有违反法律规定的事实的情况下,出于进行纠正的目的应当予以处分或行政指导(仅限法律当中有所规定的行政指导行为),但得以判明该行为没有作出的时候,任何人均可以对于有权进行该行为的行政厅等机关提出申请,要求进行相关处分或行政指导。”此时“接受申请的行政厅等机关,进行必要的调查,根据调查结果认为有必要的时候必须进行该处分或指导行为”[6]。 ③要求中止行政指导等行为 要求中止行政指导等行为,指的是:“要求对违法行为进行纠正的行政指导(仅限于法律当中有出处规定的行为)的当事人,在认为该行政指导行为不符合法律规定的要件的时候,原则上,可以对于作出该行政指导的行政机关提出相关申请,要求中止该行政指导或采取其他必要措施”。此时“接受当事人申请的行政机关,进行必要的调查,在判明该行政指导行为不符合法律规定的要件的时候,必须采取中止该行政指导的行为或其他必要措施”[7]。 III 结语 1 对根本性修改的期待 如同刚才修法经过当中所提到的,对于行政复议制度进行的根本上的修改,从十几年前开始着手准备,以2008年法草案的形式达到了离正式修改只有一步的阶段。但是,由于日本议会的制度特征(众议院与参议院的两院制,参议院要强于众议院的第二院制度),以及在参议院当中执政党并没有取得过半数的席位(即通常所说的扭曲现象)等原因,虽然经历了两次根本性的政权更替,但法修改一直停步不前。此次,随着提出2008年法草案的自民党·公明党联立政权在参议院成功取得过半数的席位,并且根据此次政权登台之后将20008年法草案的内容作为基本,参照民主党法案进行了一部分的修改的这个行为,可以预测出2014年复议法修改草案提交到常期国会并得到认可是势在必行的。 我本人其实参与了2008年法草案的准备工作全程,有很深的体会。考虑到现行制度当中存在着显著的不完善,即使在民主党政权下也仍然坚持了对法进行修改的立场,因此此次对于法修改草案的通过有着很大的期待。 对于本次沿袭2008年法草案的基本内容并对其进行一部分修改之后公开大框架的做法,在确定其可以得到通过的大前提下来说,我本人是很高兴而且很期待的。 2 从长期的观点来看修改的课题 首先在此次最终法草案中,对于1)2008年法草案当中明确提出的审查一元化(即废除异议提出前置的制度,以及再审查请求)提议的弱化,以及2)从地方分权的观点上来看,被重视的有关裁定型干预的存续问题更进一步得到明确等问题,我有一些不同的意见。但是,这些本身也是出于长期考虑来说应当进一步修改的课题,并不是说不解决这些就无法对复议法进行修改。上述两个问题仅是本人作为今后复议制度以及复议法再修改的检讨方向在此略做提示而已。 译者注: 文中出现的法律专业术语,比如:“审查请求”、“异议提出”以及“再审查请求”,均为日本法律当中固定用语,故译文中采用日语的汉字写法以保持一致。同理,“行政厅”以及“处分厅”均为日语汉字,前者指的是行政机关,后者指作出行政处分等行为的行政机关(日本遵循了德国法概念当中的“官厅”)。其中,“异议提出”指的是对作出行政处分的行政厅进行复议;“审查请求”指的是对处分厅的最近上级行政厅提起的复议方式。至于“再审查请求”,根据复议法的规定,只有在个别单行法当中有规定的时候才可以启动该复议方式。 [1] 日本国立大学法人一桥大学副校长;一桥大学法学研究科教授。2011年4月起担任核能损害赔偿纷争审查会委员,同年10月起担任内阁官房核能事故再发防止顾问会议委员。 译者:周蒨,法学博士(一桥大学·高桥滋门下·行政法方向),久留米大学法学部专任讲师。 [2] 在民主党的提案当中,设立了审理官制度。对于该制度,有人提出虽然可以保障其对于职权行使上的独立性,但是裁决权本身归属于审理厅,所以审理官在组织法当中的定位比较困难。在本次的修改法案当中,通过设立审理员的制度,对审理员的名单制作、指名及通知进行程序上的规定等方式,确保了由审理员进行审理的公正和中立性。这一点与2008年的提案是一致的。 [3] 对设置行政复议审查会的提案也存在着反对意见,认为这样与迅速进行救济的目的背道而驰,所以在民主党执政时,并没有要设置行政复议审查会的方案。在本次的修改方针当中,一个是将对行政复议审查会进行咨询的案件进行了必要性的限定,另外在审查请求人本身不希望进行咨询的情况下允许不咨询的可能性,在采取了这些措置的前提下采取了设置行政复议审查会的制度。 [4] 2008年法草案提出将来要对裁定型干预进行根本性修改为前提,但目前仍然选择对该问题适用修改前行政复议法的规定。另外,在民主党政权提出的修改案当中,对于裁定型干预本身并没有当做问题点给予太多的重视,只是在维持两个方针的前提下(有必要的情况下承认干预的存在,以及因适用旧法案会引起实务上的混乱为由提出要适用新法)对于该问题的处理进行了整理。 [5] 但在2008年法草案当中,有关非申请型赋课以及中止的救济类型,根据1)其程序本身是定位于处分之前的行政过程当中、以及2)行政程序法上有关处分的事前程序与本程序(赋课及中止)同时进行可能会导致处分前的行政过程变得复杂并在实务上会带来不便这样两个理由,在行政复议法当中采取了不设立相关程序的做法。民主党政权提出的法案当中,虽然有设定相关程序的方向性,但是在修改的方针当中采取了同2008年法草案相同的做法。(对处分之外的行政行为进行救济的方式很多,除了行政指导之外,还有行政计划,行政合同以及行政调查等等。特别是行政计划等行为,由于行政具体进行活动的方式多样,即使是承认了救济方式的存在,在实体法当中的展开也并不能达到完善,因此仅对于行政指导规定了相关的救济方式,即要求进行处分等行为,以及中止行政指导行为等。下面所叙述的制度当中除处分之外,视为仅包括行政指导行为) [6] 对于非申请型赋课,在没有申请权的情况下,如果设定了行政厅具有作出正式答复(承诺与否)义务的这样一种救济方式的话,会导致行政处分作出之前其行政过程变得复杂化。另外,考虑到实务上的负担也会增大,在赋予不确定的任何人提出申请的机会的同时,没有要求行政厅等机关必须履行结果通知的义务。其次,对于行政指导来说,即使没有要求履行结果通知的义务,但是作为在法律规定当中规定的一种制度,也要求只能是在法律当中对其出处进行了规定,并且实体法上有对于复议进行规定的行政指导行为。 [7] 1)由于行政指导行为本身只能靠相对人的任意合作行为来达到其目的,所以在复议法上如果设定相关救济程序的话并不恰当;另外2)行程程序法当中已经规定了有关行政指导的基本原则与方式,因此将行政指导的救济放在程序法当中比较合适。出于这样两个原因,将上述对于行政指导行为的救济手段改为设定在行政程序法当中。在该情况下,考虑到与要求行政处分等行为之间的均衡关系,也并没有设定关于结果的通知义务,但是如果考虑到由对违法行为进行纠正的行政指导行为对相对人造成了事实上的不利益或者有造成不利益的可能性的话,在运用上仍然是希望能够考虑对相对人进行结果等的通知行为。
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