作者:高橋 滋 行政不服審査法は、昭和37(1962)年に明治憲法時代に制定された訴願法にかえて国民の権利利益の簡易迅速な救済を主要な目的の一つとして制定されたが、現実の利用度は全体としてみると必ずしも高くない。その理由としては、救済の見込みの少なさ、制度の複雑さ、手続・運用上の不備等がある。 特に、1)処分庁に上級庁があるか否かにより、審査請求と異議申立てに手続が区分され、審査請求に比して異議申立ての手続が簡略であること(異議申立手続には、審査請求に関する行政不服審査法22条・23条、32条の準用がない)、2)行政手続法の制定により、聴聞手続をはじめとして事前の行政手続法制が一定の水準を持つに至ったため、行政不服審査法 における手続保障のあり方を見直す必要があること、3)審理の主宰者としても、審理員(審理官)、行政機関情報公開法等の不服審査会のように、中立・公正性、第三者性を保障された審理担当者・機関を設ける必要があること、等が問題点として指摘されてきた。 加えて、国民の権利利益のより実効的な救済手続の整備という観点から行政事件訴訟法が改正された(2005年4月施行)ため、同じ行政争訟に係る手続を規律する行政不服審査法を抜本的に見直す必要性が強く認識されるようになった。 これを受け、自公政権の下で、改正関連法が国会に提出された(行政不服審査法案(第169回閣法76号)、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(同閣法第77号)、行政手続法の一部を改正する法律案(同第78号))。しかしながら、上記3法案(以下、「2008年法案」という)は、参議院の与党会派が少数の状況の下で、継続審議を重ね、最終的には、衆議院の解散により審議未了・廃案となった。政権交代後、自公案への代替案が新政権の下で検討された。この結果に基づき、要綱案の骨子が発表されたものの、通常国会に提出前に、再度、政権が交代することとなった。現在、上記行政不服審査法関連法案を基礎としつつ、一部、前政権の案も参考に必要な手直しをした再提出法案の骨子が公表された(総務省「行政不服審査法の見直し方針」(平成25(2013)年6月)。以下、「見直し方針」という)。平成26(2014)年の通常国会に法律案の提出が予定されている。本報告は、その概要を紹介し、併せて、改正についての報告者の私見を述べようとするものである。 译文: 日本行政复议法修改新动向(概要) 高桥 滋 行政复议法代替了最早在昭和37年(1962年)明治宪法时期制定出台的诉愿法,将对国民权利利益的简单快捷的救济作为立法的主要目的之一,但是现实当中被国民利用的程度从整体来看并不算很高。这主要是因为能够得到救济的希望不大、制度本身复杂、以及手续运用上存在不完善的地方等。 特别是复议法当中以下的几个问题得到了关注:1)根据做出处分的行政厅(下面简称为“处分厅”)的上级行政厅存在与否,复议可分成审查请求和异议提出两种,并且程序上也有不同。比起审查请求,异议提出的程序要相对简略(异议提出的程序,并不适用有关审查请求程序的复议法22条,23条及32条的规定)。2)通过行政程序法的制定,以意见听取程序为首的事前行政程序法制度得到了一定的发展,因此随之对行政复议法当中程序保障的合理性进行重新考虑的必要性得以体现。3)即使是作为进行审理的主要人员,比如审理员(审理官)、行政机关信息公开法等所提到的复议审查会,仍然需要确保其具有中立性、公正性、并且其作为第三人的地位应当得到保障,设立这样一种审理负责人或机关是很必要的。 另外,从进一步完善国民权利利益的救济程序的观点来说,由于行政事件诉讼法已经进行了修改(2005年4月施行),大家也认识到了需要对同为规范行政争讼程序的行政复议法进行一次根本性的再检讨。 受以上立法内容及法修改的影响,在自民党与公民党联立政权执政后,对现行法律进行修改的相关法律草案被提交到了国会(行政复议法案·第169次内阁法案76号;随行政复议法施行对其他关联法律进行完善的相关法案·同内阁法案第77号;行政程序法一部分改正法律案·同第78号)。但是,上面提到的这三个法律草案,虽然参议院的执政党在势单力薄的情况下进行了多次审议,最终还是因为众议院的解散而导致审议未完变成了废案。政权交替之后,代替上述自公法案的草案在新政权下进行了重新探讨。虽然根据此次探讨结果已经公开了草案的大纲框架,但在提交给正式国会进行讨论之前,又一次发生了新的政权交替。目前,以上述行政复议法关联法案的内容为基础,并且对其中一部分根据参考前民主党政权的草案内容进行了修改后的法草案的框架已经得以公开(总务省《行政复议法的修改方针》2013年6月·以下简称修改方针)。这次草案预定于2014年提交正式国会进行审议。 本次报告将对其概要进行介绍,同时对于修改后的报告书阐述一些个人观点。
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